チームMSに聞いてみよう
-多発性硬化症Q&A:病気・症状のこと-
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-多発性硬化症Q&A:病気・症状のこと-
料理や掃除、洗濯、ゴミ出しなどの「家事」は、注意力や記憶力、実行機能、情報処理能力など多様な「認知機能」(高次脳機能)を必要とします[1]。
多発性硬化症(MS)の「進行」とは、再発がなくても症状が1年以上にわたってじわじわと変化している状態を指しますが[2]、この「じわじわと変化する症状」の中に、認知機能の低下(高次脳機能障害)も含まれます。実は、MSが進行すると脳の容積が減少(脳萎縮)して、注意力や記憶力、実行機能が障害されることがありますので、MSの進行および脳萎縮によって家事を手際良く行うことが難しくなっている可能性も否定できません。
しかし、注意障害を主体とする認知機能障害(高次脳機能障害)は、MS患者さんの約半数で認められることが指摘されていることから[3]、認知機能障害(高次脳機能障害)は決してまれなMS症状ではなく、むしろMSでよくみられる症状の1つと考えています。
中には、MSの「発病前」の段階から認知機能障害(高次脳機能障害)が出現しているとの報告や、脳の萎縮はMSの進行度合いに関係なく起きているとの報告もあります[3]。
注意力・記憶力の低下や実行機能の低下など、認知機能障害(高次脳機能障害)は身体的な障害とは異なり、外見からはわかりにくく、診察では見逃されてしまう可能性もあります。
したがって、家事に限らず、今まで問題なくできていたことが段々難しくなってきたなど、日常生活や仕事上で「ちょっとおかしい」と感じたエピソードなどがあれば、メモや手帳、アプリなどに書き留めて、それを必ず主治医に相談し、指示を仰いでください。
【回答】慶應義塾大学 医学部 神経内科 教授 中原 仁 先生
日本高次脳機能障害友の会 ホームページ(https://npo-biaj.sakura.ne.jp/top/top/top/qanda/daily-activity/#3)
日本神経学会 監修『多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023』医学書院 p24 2023年
中原 仁:臨床神経 54(12):1063-1065, 2014