生活や仕事のことを多発性硬化症(MS)の患者さんが相談できる窓口はある?
難病の患者さんやご家族から、病気や療養生活、就労支援や生活などについての相談を受け付け、療養生活の維持向上を支援する施設として難病相談支援センターがあります。センターは都道府県や指定都市に設置されていますが、自治体が直接運営するもの、医療機関や患者・支援者団体に委託しているものなど様々です。
多発性硬化症(MS)の患者さんは、医療受給者証や障害者手帳の有無を問わず利用できます。まずは相談してみましょう。
難病相談支援センターはどんな相談に応じてくれるの?
- 療養相談:受療先やセカンドオピニオン、病気の自己管理、など
- 生活相談:経済相談、指定難病の医療費助成制度など各種公的手続きの相談、など
- 就労相談:就労支援制度や働き方、症状に合った仕事内容、傷病手当金など退職前に利用できる制度の相談、など
- 患者交流:患者さん同士の交流会や同病の方への相談の場(ピア相談)の問い合わせ、など
都道府県及び指定都市に設置されている、難病相談支援センター一覧はこちら
難病相談支援員の方にお話を聞いてみました:福岡県の場合
福岡県難病相談支援センター/福岡市難病相談支援センター
難病相談支援員 青木さん(30代)
福岡県難病相談支援センターの相談支援部門には、看護師や社会福祉士の資格を持つ難病相談支援員が3名が福岡市と北九州市にある各センターに配属されています。療養相談、就労相談、患者交流に関する相談などを電話、面談、メールなどで受けていて、2022年度はのべ1,843件の相談が寄せられました。
多発性硬化症(MS)の方からの相談はのべ91件で、20歳代から50歳代までの現役世代の方が多いためか、就労や経済的な相談が目立ちます。特に、神経症状や認知機能低下などの症状が現れ、今までの仕事内容が継続できなくなったのでどうすればいいかといった相談が多いですね。
ご本人が何をしたいかが重要になるので、個人のご希望にできるだけ寄り添って、どのような仕事ならばできるかを一緒に考えています。福岡県で作成している「難病のある人のための就労ハンドブック」に、今の仕事状況や症状などを記載していただき、客観的に自分の症状と向き合いながら選択できるように工夫もしています。
患者交流会への参加をお勧めすることもあります。他のMSの方が、今の生活でどんな楽しみを見出されているのかを見ていただき、今ある症状や障害と共にできることを、前向きに考えてもらえるような支援を心掛けています。
相談に来られた方には、1つでも情報を持ち帰っていただけるように、そして一歩でもいいので現状から踏み出すきっかけを作りたいと思いながら支援しています。
患者さんへのメッセージ
患者さんにお願いしたいのは、仕事を辞めてしまう前にぜひご相談いただきたいということです。退職してしまうと使えなくなる制度もありますし、後で退職するとしてもセーフティネットを整えてからのほうが安心です。発症直後は気持ちも混乱しがちですが、難病相談支援センターは制度を利用するまでの複雑な道のり(制度の理解や手続きなど)を案内する窓口のようなものです。まず、お住まいの都道府県や指定都市にあるセンターにご相談ください。