急性冠症候群を経験された方のLDLコレステロール管理目標値は、健康な方と同じ140mg/dLではありません
急性冠症候群(ACS)は、一度発症すると再発リスクが高い病気とされています。
実際に日本の心筋梗塞患者さんを対象とした調査研究(J-MINUET研究)では、心筋梗塞を経験された方のうち、26.7~40.2%の方が、その後3年以内に動脈硬化が原因となる心臓・血管の病気をふたたび発症すると報告されています[3]。
※この「心臓・血管の病気」には心臓死、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、心不全、および不安定狭心症で緊急の血行再建術を受けたケースのすべてが含まれます。
健康な方のLDLコレステロールの基準値は「140mg/dL未満」ですが、ACSを発症したことがある方はこの高い再発リスクからご自身を守るために、より厳格な基準が設けられており、「70mg/dL未満*」に維持することが推奨されています[1][2]。
ここで重要なのは、70mg/dLに“近づける”ことではなく、“超えないように維持する”ことが治療の目標であるという点です。
*「急性冠症候群」「家族性高コレステロール血症」「糖尿病」「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞)」の4病態のいずれかを合併する場合に70mg/dL未満を考慮する[1][2]。
The lower, the better[4]
「The lower, the better=低ければ低いほど良い」。この言葉を耳にしたことはありますか?これはLDLコレステロール値をできるだけ低く保つことが重要だという考え方です。上記の4病態では、LDLコレステロール値を70mg/dL未満*に維持することが考慮されていますが、主治医と相談のうえ55mg/dL未満[5]といった低い管理目標値が考慮されることもあります。
したがって、ACSを一度発症された方は、LDLコレステロール値を目標値以下に維持することはもちろん、可能であればさらに低い値を目指すことが大切です。
血液検査で「H(高)」「↑」のマークがついてないことがあるのはなぜ?
血液検査の結果一覧では、健康な一般の方の基準値である140mg/dLを基準として高値かどうかを判断し、「H」や「↑」といったマークがつけられています。そのため、ACSを発症されておりより低い数値で管理する必要がある場合でも、これらのマークがつかないことがあります。
したがってマークがついていないからといって安心はできません。ご自身の管理目標値と比べて、今のLDLコレステロール値がどうなのかを正しく把握し、しっかりと管理していくことが大切です。
ツールを活用し記録をつけましょう
管理目標値を正しく理解するとともに、日々の生活の状況を記録していくことが大切です。健やかな毎日を送るためにこのツールを活用し、継続的に取り組んでいきましょう。下記よりダウンロードしてご活用ください。
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参考
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日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p71.
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日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p135.
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Ishikawa M, et al. Circ J. 2017; 81: 958-965.
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日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p112.
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Mach F, et al. Eur Heart J. 2020; 41: 111-188.