サポートされていない古いバージョンのInternetExplorerを使用しているようです。ブラウザを最新バージョンのMicrosoftEdgeに更新するか、Chrome、Firefox、Safariなどの他のブラウザの使用を検討することをお勧めします。

高コレステロール血症の情報サイト

  • 急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症など)の再発を予防するためには、退院後も継続して生活習慣を見直すことが大切です。

  • ご自身の状態を常に把握し、必要に応じてさらなる改善を心がけましょう。

  • 不安や迷い、治療の行き詰まりを感じたときは、主治医や医療従事者に相談しましょう。

急性冠症候群は再発しやすい

急性冠症候群(ACS)は、一度発症すると再発リスクが高い病気とされています。

実際に日本の心筋梗塞患者さんを対象とした調査研究(J-MINUET研究)では、心筋梗塞を経験された方のうち、
26.7~40.2%の方が、その後3年以内に動脈硬化が原因となる心臓・血管の病気をふたたび発症すると報告されています[1]
退院後は、再発を防ぐためにも日々の生活習慣を見直すことが大切です。

※この「心臓・血管の病気」には、心臓死、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中、心不全、および不安定狭心症で緊急の血行再建術を受けたケースのすべてが含まれます。

ご自身の今の状態をチェックしてみましょう

治療が順調に進んでいるか、生活習慣が改善されているか、以下の項目で確認してみましょう。現在、治療や生活習慣の改善に努めている方も、より良い改善点を見つけるきっかけにしてみてください。

以下に当てはまるようなことはありませんか?当てはまることがあっても自己判断せず、主治医にご相談ください。

□ LDLコレステロールの管理目標値が、主治医と相談して定めた管理目標値を達成していない
□ 処方されたとおりに薬を飲めていない、薬が余っていることがある
□ 食生活の改善(脂質を控える、揚げ物を減らすなど)について、主治医や管理栄養士から受けた指導通りに実践できていないと感じる
□ 運動(身体活動)について、主治医と相談して定めた目標や量を達成できていないと感じる
□ 身体の調子がなんだか悪い(いつもと違う症状がある)

※治療目標と生活習慣の目標値についてのご注意
血液検査の管理目標値や、食事・運動などの生活習慣に関する目標は、患者さんの個別の病態、体力、リスクなどを考慮し、主治医が最終的に決定するものです(医師の判断により治療目標が異なる場合があります)。
そのため、本チェックリストの「達成していない」の判断は、ご自身の正確な目標値や指導内容について主治医にご確認のうえ、ご判断ください。
一般的に、ACSを発症された患者さんの場合、より低いLDLコレステロールの目標値(70mg/dL未満[2][3])が考慮されるほか、1日合計30分以上、週に3日以上の運動[4]などが推奨されることがありますが、目標は個々の状態によって異なります。

うまくいかないのはあなたのせいだけではありません

上記のチェック項目に該当するものがあったら、生活習慣の取り組み方や服薬方法の見直しが必要です。
目標の数値に達しないときは、治療内容について主治医や看護師・薬剤師など通院先の医療従事者やご家族と相談してみましょう。抱えている不安や迷い、あるいは「うまく取り組めない」と感じていることも、相談することで解決の糸口が見つかるかもしれません。

治療法は1つではありません。生活習慣を改善し、日々努力をしていても管理目標値に届かない、今の方法が合わないと感じるときは、あなたにより合った治療を見つけるために、医療従事者に相談してみてはいかがでしょうか。

イラスト:不安なときは治療法を家族や医療従事者へ相談

医療機関を上手に活用するために

退院後の生活についてよくある質問と回答をまとめました。

Q. 短時間で、症状をうまく伝えるにはどうすればいいですか?

A:診察の前に、体調の変化や薬の飲み忘れ、気になっていること、不安に感じていることなどをメモし整理しておくと、診察の際に伝え忘れが少なくなります。血圧手帳やおくすり手帳も忘れないようにしましょう。そうすれば主治医もあなたの状況を正確に把握しやすくなるでしょう。うまく伝えられるか不安なときは、ご家族と一緒に受診するのも1つの方法です。

スマホからPDFを印刷する方法

Q. 入院先の病院の先生とかかりつけ医、どちらに相談したらいいですか?

A:どちらに相談しても大丈夫ですが、普段から相談しやすい先生や、体調の変化をよくわかってくれている先生にお話しするのがよいでしょう。

Q. 食事に気を付けていても、LDLコレステロール値が下がらなくて困っています

A:食事に気を遣い、薬もしっかり飲んでいるのにLDLコレステロール値が下がらない場合は、薬の種類や量の見直しが検討されることもあります。まずは受診時に主治医へ相談してみましょう。

食事についてさらに詳しく相談したいときは、管理栄養士によるサポートが受けられる医療機関もありますので、主治医に相談して紹介してもらうのもよいでしょう。

明日もイキイキごはん

運動は血圧や中性脂肪を下げるために大切な要素です。無理のない範囲で、毎日少しずつでも適度な運動を続けることを心がけましょう。主治医や医療従事者に、どのような運動が適しているか相談しましょう。

運動療法ページ

Q. 毎日たくさんの薬を飲むのが大変です

A:毎日の服薬が大変と感じる場合は、主治医に相談してみましょう。1日1回のお薬にまとめる、服薬のタイミングを揃えるなど、治療をシンプルにできる可能性があります。生活パターンに合わせて無理なく続けられる治療法を、主治医といっしょに見つけましょう。

急性冠症候群で入院された方とそのご家族へ

急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症など)と診断され治療を受けた後、退院してからの生活に不安やわからないことがある……。そんなあなたの疑問や悩みに寄り添うマンガをご用意しました。

PDF表紙画像

参考

  1. Ishikawa M, et al. Circ J. 2017; 81: 958-965.

  2. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p71. 

  3. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p135.

  4. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p102-103.

監修:
上妻 謙(こうづま けん)先生

帝京大学医学部内科学講座主任教授・循環器内科教授。総合内科専門医、循環器専門医、日本内科学会専門医制度審議会専門委員、評議員、日本循環器学会理事、日本心血管インターベンション治療学会理事長なども務める。

写真:上妻 謙 先生