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高コレステロール血症の情報サイト

  • 高コレステロール血症の治療は、まず生活習慣の改善が基本です。それだけで管理目標値に到達しない場合は、薬物療法が選択されます。

  • ひとつのお薬で効果がない場合は、そのお薬を増量したり、別のお薬に切り替えたりすることもあります。管理目標値に到達できるように、主治医と相談しながら治療を検討しましょう。

高コレステロール血症とは

診断基準・管理目標値

LDLコレステロール値140mg/dL以上を、高LDLコレステロール血症と定義しています[1]。本記事では、高LDLコレステロール血症のことを高コレステロール血症として説明します。
LDLコレステロールの管理目標値は、心筋梗塞や脳梗塞といった病気になる危険性が病歴や持病によって人それぞれ異なるため、個々の状態に合わせて設定されます。治療法もその目標値に応じて選択されます[2]

高コレステロール血症とは?

原因

脂質の多い食事、運動不足、肥満などが挙げられます。これらの生活習慣のほか、家族性高コレステロール血症のように遺伝的要素が原因のこともあります[3][4][5]

高コレステロール血症の治療の進め方は?

高コレステロール血症の治療は、動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクを低減することを目的として行われます。脂質を管理するための治療はまず生活習慣の改善(食事療法、運動療法、体重管理、禁煙・節酒など)から始め、それでも管理目標値に到達しない場合は薬物療法が検討されます[2][6]

高コレステロール血症の生活習慣の改善

食事療法

タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく取ります。飽和脂肪酸やコレステロールの取り過ぎに注意しましょう。食物繊維を多く取り、減塩(1日あたり6g未満)を心がけます[7]。肉の脂身や加工肉を控え、大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物をとり合わせた日本食の組み合わせが、動脈硬化関連の病気の予防によいとされています。

明日もイキイキごはん

イラスト:高コレステロール血症の方の食事療法

多量の飲酒は動脈硬化関連の病気や死亡率を増加させます。節酒を心がけ、休肝日を設けてください。1日あたりのアルコール摂取量はエタノール換算で1日25g以下(目安:日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウイスキー/ブランデーダブル1杯、ワイン2杯)にとどめましょう[7][8]

運動療法

運動療法は、ウォーキング、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギングなどの中強度以上の有酸素運動を中心に、毎日合計30分以上(週に3日以上)を目標に行います[3]。運動療法以外の時間も歩くことを心がけ、座ったままの生活を避けるとよいでしょう。

もっと手軽に!ウォーキング

※中強度・・・安静時の代謝の3倍程度の活動で、運動中に「楽~ややきつい」と感じる程度の運動を指します。

イラスト:高コレステロール血症の運動療法

「おうちで簡単トレーニング」では、普段あまり身体を動かさない方にとって挑戦しやすい運動をご紹介しています。上記の中程度以上の有酸素運動に取り組むのが難しい場合などは、まず運動習慣をつけられるようにご自宅で手軽にできる運動に取り組みましょう。

おうちで簡単トレーニング

その他の生活習慣

禁煙をして、受動喫煙も予防しましょう[2]。肥満(BMIが25以上)は、脂質異常や高血圧などにつながり、やがて動脈硬化を引き起こす可能性があります[9]。定期的に体重を測定し、肥満の場合には、運動療法と食事療法を行い、減量することが大切です。
※BMI(ボディマスインデックス)の算出方法・・・[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗])

イラスト:禁煙マーク

高コレステロール血症の薬物療法

高コレステロール血症の薬物療法では、作用機序や特性の異なる薬剤が複数存在し、LDLコレステロールを下げるだけでなく、中性脂肪も改善する薬があります。患者さんの病態やリスクに応じて、適切な薬剤が選択されます。

HMG-CoA還元酵素阻害薬(経口薬)

一般に「スタチン」と呼ばれる飲み薬です。コレステロールは肝臓で「HMG-CoA還元酵素(エイチ・エム・ジー・コー・エー・かんげんこうそ)」という酵素によって作られていますが、この酵素の働きを妨げることで、コレステロールの合成を抑えます。高血圧治療薬などと一体化された合剤になっていることもあります。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(経口薬)

食事や胆汁に含まれるコレステロールを体内に取り込む役割を担っている小腸コレステロールトランスポーターの働きを妨げることで、食事および胆汁由来のコレステロールが血液中へ移行するのを抑え、血液中のコレステロール(特にLDLコレステロール)を低下させます。

レジン(陰イオン交換樹脂)(経口薬)

レジンは、腸の中で胆汁酸を吸着して体の外に出す飲み薬です。胆汁酸が減ると、肝臓が血液中のコレステロールを使って新しい胆汁酸を作るため、LDLコレステロールが減少します。

プロブコール(内服薬)

プロブコールは、LDLコレステロールを低下させる作用のほかに、HDLコレステロールも低下させる特徴を持つ薬剤です。黄色腫を小さくする効果があり、LDLコレステロールが分解されるのを早めることで、血中のLDLコレステロールを減少させます。

PCSK9阻害薬(注射薬)

PCSK9(ピー・シー・エス・ケー・ナイン)というたんぱく質に作用し、血液中のLDLコレステロールを減らします。肝臓のLDLコレステロールを回収する機能を高めることで、血中のLDLコレステロール値を下げます。
主にHMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分、またはHMG-CoA還元酵素阻害薬による治療が適さない場合に考慮されます。

イラスト:男性

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MTP阻害薬(経口薬)

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)のもととなる物質が体内で作られるのを抑える飲み薬です。これにより、血液中のLDLコレステロール値の上昇を防ぎます。ホモ接合体家族性高コレステロール血症患者さんが適応のお薬です。

フィブラート系薬(経口薬)

中性脂肪を下げることを主な目的とし、HDLコレステロールを増やす働きがある飲み薬です。LDLコレステロールも下げる働きが期待できる場合があります。

選択的PPARαモジュレーター(経口薬)

超悪玉コレステロールと言われるsmall dense LDLコレステロールや動脈硬化の原因となるさまざまな脂質成分の低下、HDLコレステロールの増加も期待できるお薬です。

ニコチン酸誘導体(経口薬)

中性脂肪とLDLコレステロールを下げる効果があり、HDLコレステロールを増やすことも期待できる飲み薬です。

原因に応じた治療選択がなされることも

糖尿病や甲状腺機能低下症などの病気に罹患している場合、これらの病気によって脂質代謝に影響が及んでいることがあります。このため、まずは原因となっている病気の治療が優先されます。また、薬剤性の高コレステロール血症では、原因と考えられる薬剤の中止や減量、代替薬への切り替えが検討されます。
家族性高コレステロール血症の場合は、一般に早期から薬物療法が開始されます。

参考

  1. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p22.

  2. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p70-71.

  3. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p101-102.

  4. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p77.

  5. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p160.

  6. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p6.

  7. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p155.

  8. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p41.

  9. 日本動脈硬化学会(著).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p63-64.