心臓の血管が詰まるメカニズムとは?
心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を果たしています。こうした心臓のはたらきは、「冠動脈」と呼ばれる心臓の血管によって、心臓の筋肉(心筋)に栄養が運ばれることで成り立っています[4]。
冠動脈のイメージ
心筋に酸素と栄養を供給
正常な冠動脈は血流がスムーズだが、
コレステロールが溜まり、プラークができると血管狭窄が進行
不安定狭心症と急性心筋梗塞の違いってなに?
急性冠症候群(ACS)には、不安定狭心症や急性心筋梗塞が含まれます。
いずれも、生命にかかわる疾患で、病院での迅速な処置が必要です。
ACSでは、急ぎ足や重いものを持つなどの体を動かしているときだけでなく、食事中や安静にしているときにも、胸や胸骨の後部に「胸痛」(締め付けられるような重苦しさなど)を感じます。
診断は問診と各検査で行う
急性冠症候群(ACS)が疑われる場合には、問診と身体所見の確認後、心電図検査、血液検査、画像検査を行って、胸痛を伴うほかの病気との見きわめ(鑑別)を行います。
発症直後は治療をすみやかに開始
急性冠症候群(ACS)を発症したら、すみやかに治療を開始する必要があります。
急性心筋梗塞では、血流を回復させるために、冠動脈の狭くなっているところを広げる手術を行います。
不安定狭心症では、リスクの確認を行ったうえで、冠動脈を拡張させたり、血圧を下げたりする抗狭心症薬によって治療します。さらに、必要に応じて血流を回復させる手術を行います。
入院中は薬物療法と心臓リハビリテーションが中心
急性冠症候群(ACS)が再び起こらないようにすることが大切です。薬物療法としては、血管内に血栓をできにくくする抗血小板薬や、不整脈や心臓の働きの悪化を防ぐための薬、LDLコレステロールを下げるための脂質低下薬などを服用します。
また、再発を防ぐために、運動療法などの心臓リハビリテーションや禁煙を行います。
退院後は再発予防と生活習慣の改善が大切
動脈硬化を予防して急性冠症候群(ACS)の発症を防ぐことを心がけます。薬物療法は、必要なものを長期間継続します。
これらの薬物療法に加え、ご自身のLDLコレステロール値や血圧を定期的に確認し、バランスの良い食事、適度な運動習慣を身につけるなど、生活習慣の改善も大切です。
よくあるご質問(FAQ形式)
Q:AMIとACSの違いはなんですか?
A:AMIは、「急性心筋梗塞」の英語名称“Acute Myocardial Infarction”の略語で、血栓によって血管が完全に閉塞してしまうことで、血液が届かなくなった心筋が壊死してしまう疾患のことです。一方、「急性心筋梗塞(AMI)」や「不安定狭心症」のように、動脈硬化によって血栓ができ、心筋に十分に血液が届かなくなる病態を包括して「急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome;ACS)」といいます。
Q:急性冠症候群(ACS)は命に関わる病気ですか?
A:日本では毎年約10万人が病院の外で突然死するとされており、その最大の原因が急性冠症候群(ACS)だといわれています[5]。とくに急性心筋梗塞では、発症直後に突然死のリスクがあるため、発症後すぐに救急車を要請することが重要です。
急性冠症候群(ACS)診断・治療のための用語解説
参考
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p11-12.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p13-14.
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日本循環器協会(監).ACSタウン.ACS再発リスク.https://acs.j-circ-assoc.or.jp/ (2025年10月16日閲覧)
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医療情報科学研究所(編). 病気がみえる vol. 2 循環器 第5版, メディックメディア, 2023, p126-128, 148.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p35.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p35.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p139.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p29.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p74.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p77.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p181.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p40.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p19.
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日本動脈硬化学会(著). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p184.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p17-18.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p21.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p25.
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日本循環器学会ほか(編). 2017-2018年度活動 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版), p51.