治療をしてもLDLコレステロール値が下がらないときは、生活習慣を見直しましょう。
薬物療法の見直しも視野に入れて主治医に相談しましょう。
遺伝的要因や他の病気が隠れている可能性も考えられるため、原因を調べることも大切です。
治療をしてもLDLコレステロール値が下がらないときはどうする?
LDLコレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気を起こしやすくなります。治療をしてもLDLコレステロール値が下がらないときや不安に感じるときは、かかりつけ医に相談しましょう。
食事の見直し
高コレステロール血症を薬物で治療している場合においても、生活習慣の改善は大切です。
脂質の多い食事を控え、青魚や大豆製品、野菜、海藻など食物繊維が含まれている食べ物を積極的に取るようにしましょう食物繊維はコレステロールの吸収を抑える効果があります。
適度な運動
適度な運動も、LDLコレステロール値を下げることにつながります。ウォーキングやジョギング、体操など、無理のない運動を続けることがポイントです。すでに運動されている方は、医師に運動時間や強度について相談してもいいかもしれません。
体重管理
肥満(BMIが25以上)の人の減量は、LDLコレステロール値の改善につながります。体重管理も意識しましょう[1]。
禁煙
喫煙は特に避けるべき習慣です。また受動喫煙を回避することも推奨されており、すべての年齢層の患者さんに対して2次予防のためには禁煙が必須であると言えます[2]。
その他(節酒・睡眠・ストレス管理など)
動脈硬化を進行させる原因となるお酒を飲み過ぎないこと[3]、ストレスをためないこと、質のよい睡眠をとることなども大切です。無理せずに、できることから少しずつ生活を見直していきましょう。
薬物治療の見直し
生活習慣を改善してもLDLコレステロール値が十分下がらない場合は、薬物療法を再検討する時期かもしれません。主治医とよく相談しながら、自分に合った治療法を一緒に見つけていくことが大切です。
遺伝的な要因について
遺伝的な要因により、LDLコレステロール値が慢性的に高くなる病気を「家族性高コレステロール血症」といいます。親から子へと遺伝することが多く、血縁者にも同様の状態が見られることがあります。患者さんの割合は、約300人に1人と言われています[4]。
他の病気の可能性も視野に
高コレステロール血症は、他の病気が原因で起こることもあります。甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、原発性胆汁性胆管炎、閉塞性黄疸、クッシング症候群、糖尿病、褐色細胞腫などは、高コレステロール血症の原因となる病気として知られています[5]。
こうした病気によって引き起こされる高コレステロール血症の場合、原因となっている病気の治療が優先されます。高コレステロール血症の原因は、症状だけで判断することが難しいため、正確な原因を調べることが大切です。主治医と相談しながら、治療を進めていきましょう。
参考
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p78.
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p74.
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. P75.
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p157.
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p173.