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高コレステロール血症の情報サイト

  • 血液中にLDLコレステロールが増えすぎた状態を「高コレステロール血症」といいます。
  • 高コレステロール血症は動脈硬化の原因の1つであり、治療をせずに放置すると心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まります。
  • 高コレステロール血症の治療は、生活習慣の改善と、薬物療法が基本です。
  • 日本動脈硬化学会では、患者さんの動脈硬化リスクに応じて、「管理目標値」を設定しています。

高コレステロール血症とは何ですか?

血液中のLDLコレステロール(脂質の1つ、いわゆる悪玉コレステロール)が増えすぎた状態のことで脂質異常症の1つです。治療せずに放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となります。

リポタンパク質にはLDLやHDLがあり、これらは脂質とタンパク質が合わさったもので、体内でコレステロールを運ぶ役割を担っています。LDLは肝臓でつくられたコレステロールを「全身に運ぶ」役割を、HDLは血液中の余分なコレステロールを「肝臓に戻す」役割を担っています。
このバランスが崩れ、血液中のLDLコレステロール値が高くなることを、「高コレステロール血症」といいます。

イメージ図:LDLは肝臓でつくられたコレステロールを全身に運び、HDLは肝臓に戻す

コレステロール値が高いとどうなる?

LDLコレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が起こり、脳心血管病(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクが高まります[1]

脳心血管病が発生するメカニズム

LDLコレステロール値が高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールが溜まるようになります。
血管の壁に溜まったコレステロールのかたまりを、「プラーク」と呼びます。このプラークができることによって血管が硬く狭くなり、血流が悪くなった状態が「動脈硬化」です。

動脈硬化が進行すると、やがてプラークが破れ、破れた部分をふさぐために血の塊(血栓)ができて血管がつまってしまうことがあります。心臓の血管がつまった場合は「心筋梗塞」、脳の血管がつまった場合は「脳梗塞」が引き起こされます。

イメージ図:動脈硬化の進行によりプラークが破れ血栓ができて脳心血管病を引き起こす

LDLコレステロール値が高いと心筋梗塞のリスクが上昇

LDLコレステロール値が高いと心筋梗塞(心臓の血管がつまる)の発症リスクは3.8倍になるという報告もあります[2]

イラスト:高コレステロール血症により心筋梗塞発症リスクは3.8倍

さらに、心筋梗塞を起こした患者さんの動脈硬化関連の病気の3年以内の再発率は26.7~40.2%との調査結果もあります[3]

イラスト:動脈硬化関連の病気の3年以内の再発率は26.7~40.2%

高コレステロール血症の症状は?

高コレステロール血症は、多くの場合、自覚症状がありません。気づかないうちに進行してしまうことがあるため、健康診断などで血液検査を受けて、自分のコレステロール値を把握しておくことが大切です。

高コレステロール血症になりやすい要因は?

生活習慣

脂質の多い食べ物や甘いものの取りすぎ、野菜や魚の摂取不足といった偏った食生活は、高コレステロール血症の要因となります。さらに、運動不足、喫煙、過度な飲酒、睡眠不足やストレスも、高コレステロール血症のリスクを高めるとされています。

他の病気による影響[4]

高血圧、糖尿病、肥満症、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症、肝臓病などの病気がある人は、脂質の処理がうまくいかなくなり、コレステロール値が高くなりやすいことが知られています。薬によっては、脂質代謝に影響を与えるものもあります。治療中の病気で服用している薬がある方は、自己判断で服用を中止せず、まずは医師や薬剤師に相談しましょう。

年齢・性別

加齢に伴って脂質の代謝機能が次第に衰えるため、年齢が高くなるほど高コレステロール血症になりやすくなります[5]。また、閉経後の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで、LDLコレステロール値が上がりやすくなることが知られています[6][7]

高コレステロール血症の治療

一次予防[8]

高コレステロール血症と診断された場合、まずは原則として3~6か月間、食生活の見直しや運動の継続など、生活習慣の改善に取り組みます。それでも十分な改善が見られない場合や、LDLコレステロール値が180mg/dL以上の状態が続く場合には、お薬による治療が検討されます。

治療法はこちら

二次予防[8]

二次予防とは、すでに心筋梗塞やアテロームを伴う脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)を経験した人が、再発を防ぐために行う治療のことをいいます。生活習慣の改善に加えて薬による治療が検討される点は一次予防と同じですが、二次予防ではより積極的な治療が必要とされており、管理目標値(下記詳細)も一次予防より厳しく設定されています。

脂質管理目標値とは[8]

日本動脈硬化学会では、患者さんの動脈硬化リスクに応じて、4種類の脂質(LDLコレステロール、非HDLコレステロール、中性脂肪 [TG: トリグリセリド]、HDLコレステロール)の目標値を設定しています。これを「管理目標値」と言います。

これら4種類の中でも、特に動脈硬化の進行に深く関わっているのがLDLコレステロールです。患者さんのリスク区分に応じてLDLコレステロールの管理目標値が詳細に設定されており、それぞれの患者さんに合わせた管理が求められます(下表)[8]。しかし、動脈硬化予防には、LDLコレステロールだけでなく、他の脂質も含めたトータルケアが必要です。ご自身の脂質管理目標値については、必ず主治医と相談するようにしましょう。

LDLコレステロールの管理目標値

表画像:LDLコレステロールの管理目標値

学会が定める管理目標値はあくまでも目安です。ご自身の具体的な目標値については、主治医とよくご相談ください。

参考

  1. Daita H, et al.Circ J. 2013; 77(4): 934-943.

  2. Imano H, et al. Prev Med. 2011; 52(5): 381-386.

  3. Ishihara M, et al. Circ J. 2017; 81(7): 958-965.

  4. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p135.

  5. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p39.

  6. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p178.

  7. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p184.

  8. 日本動脈硬化学会(編). 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版, p68-71.