高コレステロール血症の患者さんで冠動脈疾患が起きたことのある人は、どのように再発を防いでいけばよいのでしょうか。「再発予防」をテーマに、帝京大学医学部内科学講座・循環器内科主任教授の上妻先生に解説していただきました。
Q. 冠動脈疾患を再び起こしたくありません。再発予防に向けたLDLコレステロールの管理目標値を教えてください。
LDLコレステロールの管理目標値は、「急性冠症候群」、「家族性高コレステロール血症」、「糖尿病」、「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞(明らかなアテロームを伴うその他の脳梗塞を含む)」の4病態のいずれかを合併する場合に、70mg/dL未満を考慮します[1]。冠動脈疾患の再発を防ぐためには、この数値を上回ることがないよう、LDLコレステロール値を管理することが大切です。
Q. 普段は症状がないので、治療を怠りがちになります。治療を継続していくためのポイントはありますか。
医師に相談して、ご自身に合ったLDLコレステロールの管理目標値を設定してもらいましょう。ご自身の目標や体調の変化をメモすること、医療機関が提供する心臓リハビリテーションのプログラムを活用することも治療継続に有用です。
Q. 薬を服用していますが、病気に症状がないため効果を感じづらいです。薬による脂質管理を続けることは重要でしょうか。
重要だと考えられています。食事・運動療法だけでは数値が改善しにくい場合があります。また、高齢であまり運動ができない場合もあります。医師と相談しながら、薬によるLDLコレステロール値の管理も続けていきましょう。
参考
-
日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p66-73.