サポートされていない古いバージョンのInternetExplorerを使用しているようです。ブラウザを最新バージョンのMicrosoftEdgeに更新するか、Chrome、Firefox、Safariなどの他のブラウザの使用を検討することをお勧めします。

多発性硬化症の情報サイト

吹き出しのアイコン

病気と向き合うには、どうしたらいい?

北海道在住の村島一正さん(49歳)は12年前、左手のしびれや、
ろれつが回らないことなどをきっかけに受診し、多発性硬化症(MS)と診断されました。
脳神経内科で治療を受けながら、発症前と同じ職場で仕事を続けています。
「昔から負けず嫌いで活発、好奇心旺盛でした」という村島さん。生活に不便を感じるものの、
「後悔はしたくない」と家族や同僚らとともにポジティブに病気と向き合っています。

サムネイル画像:村島 一正さん

村島 一正さん(49歳) 北海道

~同じ病気を抱える方にメッセージをお願いします~

同じ病気でも症状はさまざまだと思いますが、決して過去を振り返らず、少しでも楽しく、ポジティブな生活を心がけてほしいです。

楽しくポジティブに、周囲に日々感謝も

吹き出しのアイコン

初期症状は、手のしびれ、ろれつが回らない

MSと診断されるまでの経緯をお聞かせください

診断の半年くらい前から、左手がしびれる、物が見えづらい、ろれつが回らない、歩くと転ぶ、といったことが増えていました。仕事で疲れているせい、しびれは中学時代にバレーボールで肩関節を亜脱臼した影響だろうと思っていました。
しばらくそのままにしていましたが、これらの症状が治まらず、ろれつが回らないことで、仕事で担当していた運送ドライバーや顧客との連絡業務にも支障が出てきました。そこで、心配した同僚の勧めで脳神経外科を受診。MSの疑いがあると言われ、そこで紹介された脳神経内科で詳しく検査をして、MSの確定診断を受けたということです。

病気の説明を聞いて、第一声は…

病名を告げられた時はどのような気持ちでしたか?

ちょうど37歳の誕生日の日に、病院で妻と一緒に先生の説明を聞きました。テレビドラマのような雰囲気で、混乱して何が何だかわかりませんでした。説明を聞き終わった後、とっさに「私は死ぬのですか、余命はどれくらいですか」と尋ねたことは覚えています。
希少な病気になったことをポジティブに捉える一方で、長年仕事をこなしてきたのに「引きどころが悪かった」という後悔の念のようなものを感じました。家族に負担がかかるようなら、別れた方がよいという思いも頭をよぎりました。
質問に対する先生の返事は、「一生向き合っていく病気です。私たちも協力するので、がんばりましょう」といった言葉だったと思います。その時は、「あっ、そうですか」という感じの受け止め方でしたが、年を経るにつれ、先生の話はこういうことだったのか、と思うようになりました。

どのような症状がありますか?

左足の麻痺と左手のしびれ、右足の動かしづらさなどがあります。歩くとき、バランスがとりづらく、ふらついたり、つまずきそうになったりします。
発症から1年半くらいで杖を使い始め、3年前からは車椅子を使っています。

生活に不便を感じることはありますか?

運動が皆無に等しいこと、細かい作業や衣服・下着の着脱が難しいことです。着替えやシャワー後のドライヤーは、立ったままでは不安定なので、床に腰を下ろした状態で行います。それを含め、行動に時間がかかることです。

画像:村島さんのスケジュール(平日)

仕事は継続、休日サックスを演奏し気分転換も

普段の生活で心がけていることは何ですか?

できないことが少しずつ増えても、ふさぎ込まず、現状を維持、または挑戦する努力を心がけています。ネガティブに考え始めると、楽しくないじゃないですか。引きこもることなく、前に進むように、よい方向に考えるようにしています。
仕事においては、自分が言ったこと、部下に指示したことを書き留めておくようにしています。

画像:サックスを演奏する村島さん

どのようなお仕事をされているのですか?

MS発症前から現在の物流関連の会社に勤めており、勤続30年になります。現在私はドライバーの指導、労務管理などに従事しています。
車椅子を使い始めた時点で、仕事は続けられないと腹を括ったのですが、会社側から「それでも続けてほしい」という話をいただき、事業所の設備面などで充実したサポートをいただきました。そのため、私の方も誠意をもって、仕事で会社に貢献したいと考えています。

「多発性硬化症のバカヤロー!」

休日の過ごし方を教えてください

高校の部活動で取り組んでいた吹奏楽が趣味で、休みの日にアルトサックスを演奏することもあります。パチスロ(パチンコ型スロットマシン)も趣味です。何も考えずにできますし、今できることを楽しんでおきたいという思いがあります。

他に気分転換にしていることはありますか?

自宅も勤務先も同じ川の近くにあるのですが、窓を開け、川に向かって思いっきり叫ぶことです。「多発性硬化症のバカヤロー!」と。これまで2、3回叫んでみましたが、気持ちがかなりすっきりしました。

自然と気持ちが前向きになるのはどのような時ですか?

病気を忘れさせてくれるような、周りの人の対応です。高校の同級生などに会うと、みんな、「生きてたか~」「元気だったか」と笑顔で声をかけてくれますね。知らない人がコンビニエンスストアのドアを開けて待ってくれる時などもそう。礼儀として、自分のために何かをしてくれた人には感謝の気持ちを伝えるように心がけています。
子どもが2人いますが、MSを発症してから私への接し方が一変しました。足を引きずって歩くと肩を貸してくれたり、車の乗り降りを手伝ってくれたり。何も言わずに行動する気持ちに日々感謝しています。

高い目標を立て、達成感を求める

目標にされていることはありますか?

病気が進行しないように自己管理をしつつ、健康で有意義な毎日を過ごせたらと思います。後悔はしたくないので、少しでも楽しいことを見つけ、前向きに生きていきたいです。
趣味は、円周率を100桁まで覚えること。少しずつ覚えて、50桁台まできました。それで何か得をするわけではありませんが、自分に高い目標を課して、達成感を求めているのです。小学校時代は珠算に明け暮れていたほど、数字に強いし、貪欲に挑戦する意欲は年齢に関係ないと思っています。

画像:仕事中の村島さん