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重症花粉症の情報サイト

監修:
国際医療福祉大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科学 教授 岡野 光博先生

最適な治療法は一人ひとり違う
~さまざまな花粉症の治療~

主な花粉症治療には「抗原(原因物質)の除去と回避」「薬物療法(アレルギー性鼻炎に用いる薬のいろいろ)」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」が挙げられます。薬物治療1つをとっても治療薬はこれまでに数多く開発されており、最適な治療法を見つけるためには、ご自分の症状を正確に理解し、医師と相談することが大切です。

医師による診断

治療薬はタイプとレベルに応じて処方される

薬物治療でどの薬を用いるかは、医師が花粉症の病型(病気のタイプ)と重症度(病気の重さのレベル)をふまえて選択します。そのため問診では、症状の種類や強さについて詳しくたずねられることが多いです。どんな症状があるのか、どのくらいのつらさを感じているか、何を改善したいのか、事前にご自身の症状を把握し、希望をクリアにしておくといいでしょう。重症度が高まるにともない、複数の治療薬を組み合わせて処方されます。

患者が医師と相談するイメージ

診断方法

問診

いつ始まったか、季節は、症状の強さは、どんな鼻の症状か、他のアレルギーの病気はあるのか(気管支喘息、アトピー性皮膚炎)、家族にアレルギーの病気の人はいるか、どんな治療をしたことがあるかなど、診断の基本となる大切なことです。

アイコン:問診

⿐鏡検査

⿐の中の粘膜が腫れていたり、⿐みずをみることができます。副⿐腔炎、⿐ポリープ、⿐中隔弯曲症など、他の⿐の病気との区別も必要です。

アイコン:⿐鏡検査

病気がアレルギーによって起きている証拠をつかむ

鼻みずの中の好酸球を証明します(最も一般的で大切な検査です)。そのほか、血液検査で総IgE値、血中好酸球値を測定します。

アイコン:病気がアレルギーによって起きている証拠をつかむ

抗体を証明する

原因となる抗体に対する抗体の検査です。

皮膚テスト

皮内テスト、スクラッチテスト、プリックテスト。
皮膚に注射などで抗原を入れると、抗体をもっていれば、赤くはれるなどの反応がみられます。

血清特異的IgE検査

血液検査で原因となるそれぞれの抗原に対する抗体を証明します。

鼻誘発試験

原因抗原を鼻の粘膜にろ紙などでつけると、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの反応がでます。

アイコン:抗体を証明する

鼻X線検査

副鼻腔炎など、他の病気を否定します。
また、アレルギー性鼻炎でも上顎洞の粘膜がはれていることがあります。

アイコン:鼻X線検査

病型の診断

くしゃみ・鼻漏型、鼻閉型、充全型に分けます。

アイコン:病型の診断

重症度の診断

症状の程度によって、軽症、中等症、重症・最重症に分けます。

アイコン:重症度の診断

※注意


鼻みずの中に好酸球が証明されて、症状と矛盾しない抗原に対する抗体(花粉症では花粉飛散時期・症状発現時期と抗体の種類が一致する)が証明されれば、診断は確定します。


●問診票
●鼻アレルギー日記
を書いていただくことがあります。これらは、病型、重症度の診断に役立つばかりでなく、治療がうまくいっているかどうかの参考にもなります。ぜひともご協力ください。

出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会:アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版,p8-9,ライフ・サイエンス,2021

治療方法のいろいろ

多くの治療法がありますが、どの方法を選択するかは、病型、重症度によって異なります。加えて、患者さんのライフスタイルも考えなければなりません。
病気のこと、治療のことをよく知って、医師と二人三脚で治療の方針を決めましょう。患者さんと医師は共同診療者となるのが理想です。

抗原(原因物質)の除去と回避

アイコン:抗原(原因物質)の除去と回避

鼻に入る抗原の量を減らすことは、治療の第1歩で、患者さんにしかできないことです。

スギ花粉の回避

①花粉情報に注意する。
②飛散の多い時の外出を控える。
③飛散の多い時は、換気にも気を付け、窓・戸を閉めておく。
④飛散の多い時は、外出時にマスク・メガネを着用する。
⑤外出時、けばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
⑥帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
⑦掃除を励行する。

薬物療法(アレルギー性鼻炎に用いる薬のいろいろ)

アイコン:薬物療法(アレルギー性鼻炎に用いる薬のいろいろ)

①ケミカルメディエーター遊離抑制薬

抗原抗体反応が起きても、マスト細胞からのケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質)遊離を抑える薬です。十分な効果がでるのに1~2週間が必要です。飲み薬、鼻に噴霧する薬があります。

②第1世代抗ヒスタミン薬

ヒスタミンが神経に作用するところ(受容体)をブロックしますので、主としてくしゃみ・鼻みずに効果があります。比較的安全性が高いので、市販薬にも含まれていますが、眠気、口が渇くなどの副作用があります。また、尿の出にくい人(前立腺肥大など)、緑内障のある人には使えません。

③第2世代抗ヒスタミン薬

第1世代抗ヒスタミン薬の副作用が、新しいものほど軽減されています。抗ヒスタミン作用のほかにいろいろな作用があるため、また配合剤などでは鼻づまりに効くものもあります。たくさんの種類の薬が発売されていますが、作用が少しずつ違っています。多くのものが飲み薬ですが、鼻噴霧用薬や貼付剤もあります。他の病気の薬との飲み合わせが悪いものもありますので、飲んでいる薬を必ずおしえてください。

④抗ロイコトリエン薬

鼻づまりに効果があります。
眠くなる成分は全く含まれていません。

⑤抗プロスタグランジンⅮ₂・トロンボキサンA₂薬

鼻づまりに効果があります。
眠くなる成分は全く含まれていません。

⑥Th2サイトカイン阻害薬

IgE抗体をつくるもとの細胞(Th2リンパ球)に作用して、抗体をつくりにくくする効果があるとされています。

⑦ステロイド薬

・鼻噴霧用ステロイド薬

鼻に噴霧する薬で、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりに等しく高い効果があります。しかし、決められたとおり定期的に使用しないと効果が十分に発揮されません。ステロイド薬としての副作用はほとんどありません。

・経口ステロイド薬

抗ヒスタミン薬との配合剤がよく用いられます。よく効く薬ですが、ステロイド薬としての副作用がありますので、短期間(1週間をめどとして)の使用にとどめます。

⑧点鼻用血管収縮薬

鼻に噴霧する薬で、鼻づまりに効きます。つけてすぐに効く薬ですが、使いすぎるとかえって鼻づまりが強くなり、薬剤性鼻炎といわれます。どうしても必要な時だけ使います。

⑨注射薬

通常の治療を行っても症状が重い方に使用する薬剤があります。

⑩その他

漢方薬などがあります。

アレルゲン免疫療法

アイコン:アレルゲン免疫療法

原因となっている抗原エキスを、注射(皮下免疫療法)や舌下(舌下免疫療法)から身体に入れていく方法です。特に注射の場合は、ショックなどの副作用がごくまれにありますので、注意深く反応を観察しながら行います。
抗原に対する反応を弱めていく方法ですので、長い期間、2~3年の治療が必要ですが、治療の中で唯一、アレルギーを治してしまう可能性があり、約70%に有効と考えられています。症状の強い人で通院が可能であれば、アレルギー治療の基本的な方法とされています。

手術療法

アイコン:手術療法

鼻づまりの強い人に対して、鼻の粘膜(下鼻甲介)を切除して小さくするのが基本です。最近ではレーザー手術など、出血なしに外来でできる方法が普及してきました。比較的簡単にでき、粘膜の表面を焼くと反応が弱くなることから、くしゃみ、鼻みずにも適応が広がりましたが、再発もみられます。鼻みずを分泌する腺を刺激する神経を切って、鼻みずをとめる手術もあります。

出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会:アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版,p10-14,ライフ・サイエンス,2021に沿って作成

どの治療を選ぶか

●抗原の除去、回避は必ず行ってください。
●症状の強い場合、通院の条件がととのえばアレルゲン免疫療法も選択肢のひとつで、唯一寛解が得られる方法です。
●鼻づまりが強い場合は、手術も選択肢のひとつです。
●薬局で市販の薬を買う場合も、一度は医師による正確な診断を受けてからにしてください。

出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会:アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版,p15,ライフ・サイエンス,2021

薬を選ぶめやす(花粉症)

初期治療

アイコン:初期治療

症状が出る前に始める治療。
いつ始めるか、どんな薬を使うかは、早めに医師と相談するのがよいでしょう。
シーズンを通して症状が軽くすみます。

重症度に応じた治療(症状が出てからの治療)

アイコン:重症度に応じた治療(症状が出てからの治療)
表:花粉症のタイプと重症度に応じた治療

出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会:アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版,p17,ライフ・サイエンス,2021に沿って作成

妊婦の治療

妊婦中は、アレルギー性鼻炎の症状が悪くなることがあります。
しかし、胎児に与える影響を考え、治療は慎重でなければならず、妊娠4カ月の半ばまでは、原則として薬物を用いることは避けたほうが安全です。

●まず、温熱療法、入浴、蒸しタオル、マスクによる薬を使わない方法をこころみる。
●どうしても薬が必要な場合は、主治医に相談の上、
鼻噴霧用ケミカルメディエーター遊離抑制薬
鼻噴霧用抗ヒスタミン薬
鼻噴霧用ステロイド薬
などを、少量で用いる。

出典:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会:アレルギー性鼻炎ガイド 2021年版,p18,ライフ・サイエンス,2021