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糖尿病黄斑浮腫(とうにょうびょうおうはんふしゅ)の情報サイト

監修:
名古屋市立大学 視覚科学 名誉教授
小椋祐一郎先生

患者Bさんの体験談

治療を受け始めてから2年ほど。受診のきっかけは、視界がぼんやりとして見えにくさを感じたため。
その後、症状が悪化し、一度はほぼ何も見えないような状態を経験されました。複数回にわたる手術を経た現在の視力は右眼0.7、左眼0.1で、普段の生活には支障がないほどに回復されています。

最初はただの疲れ目だと思っていたのですが・・・。

病院に通い始めてから2年ほどになりますが、いつから症状が出ていたのか、はっきりとはわかりません。と言うのも、最初は「疲れ目なのかな・・・?」「パソコンや携帯の画面を長く見過ぎたせいかな・・・?」くらいに思っていたからなんです。
そういった感覚は以前にもありましたし、その時からすでに初期症状が出ていたのか、それとも本当に疲れ目だったのか、自分ではわかりません。

まさか自分がこんな病気になるなんて。

それまで眼科はもちろん、ほとんど病院にかかったことがなかったのに、受診して初めて自分の病気がわかった時は本当に驚きました。
なぜなら、病院で薬を処方されれば、ぼやけやかすみはすぐ取れてもとの眼の状態に戻ると思っていましたから。それが、「手術をすれば良くなるかも」と言われたわけですから、驚きますよね。 また同時に糖尿病を発症していることもわかって…。一体自分に何が起きているのか、この先どうなるのか、何が何だかわからない気持ちでした。でも、手術で眼が良くなるのなら早くしてほしいと思いました。

市販の目薬をさしても何も変わらない。

最初はただの疲れ目だと思っていたので、市販の疲れ目用の目薬をさしていました。そのうち良くなるだろうと思っていたのですが、良くなるどころかぼんやりした感じが次第にひどくなってきて・・・。
「これは何かおかしいかも」「病院で診てもらった方がいいかも」と感じていた時に、たまたま友人にその話をしたところ、友人が過去に受診した、ある大学病院を紹介されました。
今思うと、これがその後の運命を決定づけたと思います。後から知ったことですが、この大学病院には私が発症したような網膜疾患の治療を専門とされる先生がいらっしゃったんです。

手術をするも、見え方は改善せず・・・。

初診から約1ヵ月後に手術の予定が決まりましたが、待っている間にも見えにくさはひどくなる一方で、不安な日々を過ごしました。
そしてようやく手術をしていただいたのですが、術後1ヵ月経つか経たないかくらいの時期に、また出血が起きて入院することになりました。その時は、色も形もぼんやりとしか見えず、まるですりガラスを通して見ているような感覚でした。何をするにも、手さぐりで確認するか誰かに手伝ってもらうしかなく、本当に不安でいっぱいでした。
でも、入院中は自分1人で他に頼れる人が近くにいる状況ではありませんでしたし、「自分で何とかしなくては」という気持ちが芽生えたのもこの時期でした。

私が先生にわかってもらえるよう、伝えるしかない。

すべてがすりガラス越しの世界で、見えにくさにイライラすることもありました。
そしてついに「もう限界!」と先生に伝え、二度目の手術をすることになりました。目の前の人も物もはっきりと見えない私にとって、治療にあたってくださる先生さえ、姿かたちがわからない存在でした。ですが、「この見えない状態を伝えられるのは私しかいない」「私が伝える以外、先生にわかってもらう手立てはない」と思いました。

積極的な気持ちと行動が最善の治療につながる。

もしも、入院中に家族や友人などの頼れる人が常に近くにいてくれる状況であったなら、そこまで強く、自分の意見や気持ちを伝えはしなかったかも知れません。
1人ですりガラスの世界にいたからこそ芽生えた「何とかしなくては」という気持ちと行動が、結果的に最善の治療を受けることにつながったのだと思います。
おかげで今は、右眼0.7、左眼0.1と日常生活には支障がないほどの視力に安定しています。糖尿病の治療もインスリンの分泌を促すお薬の投与だけで済んでいます。今の状態があるのも、あの時、積極的に先生とコミュニケーションを取ったからなのだな、と強く感じています。

※ すべての糖尿病網膜症患者さんが同様の経過をたどるわけではございません。